「食べちゃいけないものほど食べたくなる心理」

 人はふつう生理的な欲求から食欲がおこります。しかし、時として心理的な欲求により食べ物を欲しくなることがあります。この傾向は特に女性に多いようで、いらいらしたり欲求不満がたまると食べることで解消した経験をお持ちの方は多いのではないでしょうか。

 食事に気を使っている方や、ダイエットをしている方はそれなりの知識は持っています。甘いものや油もののとり過ぎが身体に負担をかけることは皆さんご存知だと思います。しかし、知っているのにやめられないのはなぜでしょう。特に精神的に不安定になっているときなどは、自分の中で禁止している食べ物ほど欲しくなるものです。その食べ物を食べてはだめと禁止しているということは、同時にその食べ物のことを考えているということでもあるのです。むしゃくしゃしている時、人間は危険を冒すことでその欲求不満を解消することがあります。禁止している食べ物を食べるということは、自分の中で禁止を破ることでスリルを味わっているようなものなのです。そのようなことから、厳しく禁止すればするほど、心理的に欲しくなるものなのです。

 私たちは誰でも、何かを取り上げられたり、手に入らないと、ますますそれが欲しくなるものです。例えば、何かの理由で家の水が出なくなったとします。するとあなたはのどが渇きやすくなり、水が一層大切だと感じるようになるでしょう。同様に、手に入らない、食べてはいけない食べ物は、非常に重要なものになります。あまりに重要で、その食べ物について考えることが多くなり、時にはそれについてくよくよと悩むくらいです。こうした執着がしばしば禁じられた食べ物を食べるように仕向けるのです。自分で絶対にこんなものは食べないと思えば思うほど、それが食べたくなるというようになるものなのです。

 私は仕事柄、食事に関する相談を受けるのですが、厳格な玄米菜食や徹底したダイエットをしている人の中に、極端に食事を制限しているかと思うとちょっとしたきっかけでめちゃくちゃになる方がいます。自分の中で禁止事項をあまり多く作りすぎると、不自由になり、生活のすべてが食べ物のことで振り回されるようになってきます。食事は日常的なことなので、少し幅を持たったやり方をしないと食事自体がストレスになり、それがさらに禁止しているものを欲しくなるという悪循環につながりかねません。

 食事に関する正しい知識をまだ身に付けていない人は、しっかりと正しい知識を身に付けましょう。そして毎日の生活の中で、自分に出来る範囲からでいいので実践してみましょう。ただし、知識はあって実際に実行してみたがどうもうまく行かない。こんな人は、その食事内容自体が自分に合っていないのか、あまり完璧を目指しすぎて、自分の中に禁止事項を作りすぎてはいないでしょうか。どんな理想も「~しなければならぬ」になってしまうと自分を縛り付ける執着になります。理想はあくまでも「~できたらいいな」というくらいにしておきましょう。

 食事で一番大切なことはと聞かれたら、私は迷わず「美味しく、楽しく食べることです」と答えます。身体を動かして、お腹が空いて食べる御飯はたとえそれがどんなものであろうとも美味しいものです。そんな当たり前のことが、なかなか出来ないような不自然な世の中になっています。健康やダイエット等に関する情報が氾濫している現在、自分は何を食べたいのか、食べたらいいのかがわからなくなっているようです。頭の中だけで「あれはだめ、これはだめ」と禁止するのはやめて身体が食べたいと感じたものを信じて食べてみることも必要です。

 ほんとに自分に必要なものは美味しい、気持ちいい、楽しいという感覚でわれわれにサインを送ってくれています。フォルスでやっている断食や食事療法のコースはこの人間が本来当たり前に持っている、自分の身体に必要なものを美味しい、気持ちいいと感じる、感覚を取り戻す有効な手段だと思います。みなさんは近ごろ本当に「美味しかった」と満足できる食事をしていますか。 

コメントをどうぞ